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インタビュー
「とにかく離婚」ではなく、長い目で見て最善の解決を探る
これまでのキャリアについて教えてください。
元々は勤務弁護士として働いていたのですが、同期の友人と共に2013年1月に当事務所を開設しました。現在は弁護士は私一人です。
事務所の理念を教えてください。
地域に密着して、個人であれ会社であれ、依頼者の想いを最大限尊重できるように、と考えています。個人事務所なので、相談から解決まで私が責任を持って担当します。一人一人のケースに応じたきめ細やかな対応が可能です。
理念を実現するために、具体的に取り組んでいることを教えてください。
私を信じて依頼してくださった方の想いに応えるために、一件一件、真面目に対応していくことです。そして長い目で見たときに、本人にとってベストまたはベターな解決に導くことを一番に考えています。
ベストまたはベターな解決というのは、どういったことでしょうか。
依頼者の中には、「慰謝料も養育費もいらないので、とにかく早く離婚したい」とおっしゃる方が少なくありません。ただ、いざその条件で離婚して1年後や5年後にも同じ気持ちでいられるかというと、そうとは限りません。
離婚してみると、やっぱり生活が大変とか、あの時ちゃんとお金をもらっておけばよかったと後悔することもあるはずです。実際、夫と同居している段階で相談に来られて「お金はいいから早く離婚したい」と話していた方が、別居してしばらく経つと気持ちも落ち着いて、「やっぱりちゃんとお金もほしいです」と心境が変化することは少なくありません。
ただ、離婚の場合は感情的になる側面も大きいですし、トラブルの渦中に置かれていると状況を客観的に見るのは難しいです。ですから、依頼者の気持ちや考えを全否定することはありませんが、弁護士の立場として、後々依頼者が困らないように解決するということは常に心がけています。
紹介を中心に、女性・男性双方の相談に対応
離婚の分野に注力している理由を教えてください。
元々は、女性側が女性の弁護士に依頼したいとか、男性側が妻との対応を考えて女性の弁護士に依頼したいということで離婚案件が増えていきました。その後は、過去の依頼者の紹介で依頼を受けることが多くなり、今では扱っている案件の半分程度が離婚に関するものです。
相談者の男女比はいかがでしょうか。
女性が6割くらいです。
離婚の場合、同性の弁護士のほうが相談しやすいイメージもあるのですが、男性からの相談も一定割合あるのですね。
男性の依頼者は、ご紹介の場合も多いですが、妻との対応を考えて、あえて女性の弁護士を選ばれる方も多いです。
女性の場合も、ご紹介の場合も多いですが、同性の弁護士に相談するニーズが高いように思います。ホームページなどを見て、紹介者なしで法律相談を申し込んでくださる方も少なくありません。
離婚案件の経験が豊富な弁護士に依頼するメリットは?
どういったご相談が多いですか。
女性の場合は、やはり離婚後の生活を考えて、ある程度まとまった金銭を支払ってもらいたいというご相談が多いです。
男性の場合は反対に、女性から支払いを求められることが多いので、金額をいかに抑えるかがポイントになることが多いです。時間がかかると婚姻費用の支払期間も長くなって、その分支出も増えるので、スピーディーな対応が求められます。ここは女性側とは違う配慮が必要な部分ですね。
離婚案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
たとえば離婚調停などは、弁護士に依頼しなくても自分で対応できるだろうとか、弁護士に頼んでも基本的に結論は変わらないだろうというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
ただ実際は、養育費・婚姻費用・財産分与などの計算は、法律知識や実務経験によって差が出ます。女性側の代理人として対応する場合でも、自分が男性側だったらこれくらいは出さざるを得ないという金額は計算します。そして実際の男性側からの提示額がそれより少なければ増額を求めて交渉します。ですのでご自身で対応される場合と弁護士に依頼する場合では、最終的な結果に大きな差が出ることも珍しくありません。
また、ご希望に沿うことが難しい場合は「難しい」とハッキリお伝えして、再考を促すこともあります。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどういったところでしょうか。
ご相談から案件の最後まで、私が責任を持ってご対応しています。弁護士として10年以上、基本的には単独で案件に対応しておりますし、これまで多くの離婚案件を手がけてきたので、取り扱い件数は弁護士の中では多い方だと自負しています。ですから、依頼者の事情を聞いた上で、「大体こうなるだろう」という見通しを立てることができます。
「弁護士なら誰でも見通しを立てられるのでは?」と思われるかもしれませんが、弁護士の中には、離婚案件はあまり引き受けないという方もいます。そういった方は、やはり普段扱っていない分、到底認められないような主張を繰り返していたり、婚姻期間が長くなることで余計に婚姻費用を支払う結果になっていたりすることもよくあります。
こういった状況を見ていると、やはり件数を重ねることによって得られる知識や経験は、弁護士の力量や結果に影響してくると思います。
先生にとって、離婚案件のやりがいはどういったところでしょうか。
初回相談のときはすごく暗い表情で、話しながら泣いてしまうような方が、ご依頼いただいて調停などを進めるうちに、別人のように元気を取り戻していくことがあります。そういう姿を見ると、やはり嬉しいですね。不安材料を1つずつ解消し、離婚までの期間を安心して歩んでくださっていると実感できることが、一番のやりがいです。
弁護士業務の中でも、離婚案件はプライベートなお話をおうかがいしますし、依頼者と話をする時間も長いので、強い信頼関係が築けます。案件終了後も定期的に近況報告をしてくださったり、お知り合いを紹介してくださる方も多く、自然とご縁がつながっていく感じがしています。
できれば別居前の相談がお勧め
初回相談では、どういった対応をされていますか。
まずは離婚案件の相談カードに情報を記入してもらい、その情報を元にお話をうかがいます。そして、相談内容に応じたアドバイスや今後の流れなどを説明します。
そもそも離婚する必要があるのかという観点から話をすることもあります。また、財産分与や養育費の金額については、資料が揃っていれば、できる限り具体的な見通しを伝えるようにしています。
初回相談では、どういった資料を持っていくと良いでしょうか。
戸籍や確定申告書や源泉徴収票など夫婦の年収に関する資料、夫婦の財産に関する資料などをお持ちいただくと、より具体的な話ができます。
――相談するタイミングは、いつ頃が良いでしょうか。
離婚を迷われている時点でも良いと思います。遅くとも別居前に相談されることをおすすめします。別居前の方が収集できる資料が多いですし、基本的には別居した日が財産分与の基準日になり、後で動かすことはできません。いつ別居するのがベストかという検討ができるという意味でも、別居前にご相談いただくのが良いと思います。
また、自分が出ていく形で別居した後だと、自由に荷物を取りに行くことは難しくなる場合も多いです。別居前に相談していただければ、家を出る際の注意点なども、あらかじめお伝えすることができます。
離婚について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
一人で悩んでいるくらいであれば、気軽な気持ちでご相談ください。
ご自身では難しいと考えていることでも、「交渉材料のカード」が見つかるかもしれないので、一度相談に来てみませんかと思っています。
離婚するにあたり、自分と相手それぞれにどういう「カード」があるかを把握することは重要です。そして、「カード」の出し方、つまり主張の順番やタイミングをしっかり考える必要もあります。これは法律の専門家である弁護士、特に離婚案件に注力している弁護士だからこそできることだと思っています。
トラブルを抱えているときは、「ずっとこの状況が続くのではないか」と不安に思うでしょうし、1日1日がとても長く感じるものです。しかし、解決しない問題はなく、どれほど複雑なケースでも、今より状況を良くするための方法は必ずあります。弁護士として、その方法を見出し、未来を明るくするためのお手伝いをしたいと思っております。
良い意味で、「今日は1日が短く感じた」と思える、そんな状況を作るためのサポートができれば嬉しいです。